傲慢と善良と欺瞞
何かと刺さるらしいと評判の「傲慢と善良」
自分自身やパートナーの正体(本当の気持ち?)にじわじわ気づいていく感じはアガサクリスティの「春にして君を離れ」みたいで最高。
一緒に居る時は見えなかったものが、離れることで徐々に輪郭を現わしていくというのは面白い。実際そういうことって多い気がする。
そして真実(マミ)は完全に頭がおかしい。もはや説明不要だと思うけど。
というか色々言いたいことがる。
男が放っておかない見た目なのに35歳で処女って流石に無理がある設定ちゃうんか?
一応アリバイ的に育った家庭環境のおかしさが差し込まれてるけど、、、、。
普通するだろ!まったく性欲がない人間として登場してたらごめんなさい、そこ読み飛ばしてたかもしれない。
でも作中で唯一のセックスシーンは完全に筆がノリノリで、もうなんというか「セックス!!!!!!」という感じのセックスなんだよ。一体どういうことなの…?
書いてるのは男なんじゃねえのと勘ぐって調べたら女性だったし。
容姿もいい、仕事もしているので出会いがないわけでもない、ただ35歳になるまで一度も男と経験がない。
別に経験がないから狂人と言うわけじゃないけど、物語のリアリティを根本的に損ねる可能性があるんじゃないかと思って読んでた。結局はそれを無視できるくらい面白かったからいいけど…。
自己愛粉砕系の体を取りながら、きっちり甘い夢を見せてくる、なんかずるい小説だなと。